不安障害エクササイズ!「不安」が病気…ってなに?特徴や症状について解説します

不安そうにマイク登壇する女性(アイキャッチ)

「不安障害」というと、強い不安感や恐れが生じ、日常生活に大きな影響を及ぼす状態のことを指します。

この障害には様々な形があり、人によって症状が異なります。たとえば、公の場で話す際に震えが止まらなくなるなどの症状が考えられます。

緊張や不安…これ自体は誰もが持っている当たり前のもの。

重要なのは、不安障害が個人の努力不足や甘え、性格の問題から生じるわけではないということです。

記事を通じて、不安障害の症状や、どのように診断されるのか、そしてその治療方法や対応策について知っていきましょう!

「不安」という感情の本質とは?

悩む女医

まず前提として…不安を感じることは、人間として自然な反応ですよ!

この感覚は、潜在的な危機に備え、予期せぬ危険から身を守るための本能的な機能として働いています。

例えば、大人数の前でのスピーチや重要な試験の前に感じる緊張は、至って普通の反応です。また、環境が変わる時や新しい場所に足を踏み入れる際の不安も、人間が本能的に持つ反応の一つです。

これらの点から明らかなように、不安を感じること自体が直ちに不安障害を意味するわけではないと理解することが大切です!

極度の不安や恐れを感じたときの対処

不安そうな表情の女性

もし日常で、不安や恐れが原因で仕事の効率が低下したり、人間関係に影響を及ぼしている場合、それは不安障害の兆候かもしれません。

自己と他者を比較して、「自分は通常以上に不安を感じているか?」と考えることは、状況を把握する上で重要な視点です。

また、不安障害と一口に言っても多様な形態が存在します。各タイプの不安障害がどのような特徴を持つのかを、以下で詳しく説明します。

不安障害の各種類に見られる特有の症状

談笑する医学生

不安障害には、色んな分類があります。

細かく分類されているだけ、多様な症状や特徴を持つ…次に、これらの不安障害の各タイプにおける症状に焦点を当て、詳細に説明していきます!

パニック障害の概要と症状

パニック障害は、突然として明確な理由なく、動悸、めまい、手足の震えなどのパニック発作と呼ばれる特徴的な発作が出現し、日々の生活や社会的な活動に支障をきたす状態を指します。具体的なパニック発作の症状には以下のようなものが挙げられます。

  • 動悸
  • めまい
  • 発汗
  • 窒息感
  • 吐き気
  • 手足の震え

パニック障害の特徴としては、パニック発作の他に「予期不安」「広場恐怖」も見られます。

予期不安は、発作が再発することへの懸念や、「次の発作はもっと強烈かもしれない」という恐怖が増していく状態を示します。

広場恐怖は、特定の場所や状況に対する過度の不安や恐れがあり、それが原因でその場所への訪問が困難になる現象です。例えば、以前電車内で発作を経験したために、電車への乗車を避けるような場合、これは「電車」に対する広場恐怖と考えられます。

一般的にパニック発作の症状は「死を予期するほどの恐怖を感じる」と現場の患者さまから伺います。

パニック障害の治療法としては、薬物療法に加え、心理療法がよく用いられます。

また、「暴露療法」なんて呼ばれる、対象刺激への文字通り暴露をしていくような治療法もあります。

どんどん触って慣れてね…こういう治療もあるんだ、と、当時勉強した時は驚きました…!

全般不安障害とその特徴

全般不安障害は、仕事や日常生活の様々なシーンで不安感を抱く状態です。職場や家庭の問題だけでなく、自分に直接関わりがない自然災害や国際的な紛争のような事象も、不安のトリガーになることがあります。

以下は全般不安障害に見られる症状の一部です。

  • 些細なことで不安に陥る
  • 落ち着かない気持ち
  • 疲労感
  • 頭痛や筋肉の凝り
  • 集中力の低下
  • 怒りっぽくなる
  • 夜間に目を覚ます

このように全般不安障害は、精神的な問題に留まらず、身体的な症状も引き起こし、日々の生活に影響を与えることがあります。

言うなれば、ずっと緊張状態が続いていると考えるとわかりやすいのかもしれません。

想像しただけでも疲れますよね?

社交不安障害の症状と影響

社交不安障害は、他人の注意を引く状況や、公の場で恥をかくことに対し、通常よりも強い恐怖や不安を感じる状態です。その結果、人と会話することや、人混みの中にいること自体が困難になることもあります。

以下のような症状が、人前や社交的な環境で発生することがあります。

▪︎思考が停止する

▪︎話すのが困難になる

▪︎スムーズに会話ができない

▪︎胃の不快感や吐き気

▪︎顔の紅潮

▪︎手足や声の震え

▪︎汗をかく

さらに、これらの症状が繰り返されると、注目されることを避けるようになったり、電話を避けたり、学校や職場に行かなくなる可能性が高まります。

限局性恐怖症の特徴と影響

限局性恐怖症では、特定の事柄や対象に対して、通常よりも強い恐怖感を抱くことがあります。この恐怖は、現実的な危険がないと理解していても、自分で制御するのが難しいものです。誰にでも苦手なものってあるのかな、と思う今日この頃ですが…限局性恐怖症はこの対象についての恐怖感が、日常生活に影響するほどの状態、と考えます。

▪︎高所

▪︎狭い空間

▪︎尖っている物

▪︎動物や虫

▪︎血

▪︎水辺や自然環境

恐怖の対象や状況に応じて、避けることで日常生活を送ることも可能ですが、日常生活に支障が出る状態はお辛いかと思います。。

不安障害を引き起こす要因

不安障害の明確な原因は現在のところ判明していませんが…可能性がある要因をいくつかご紹介します。

何度でも書きますが、仕事や人間関係などから生じる不安は当たり前にあるものです。しかしこの不安が過度に強まったり、長期間にわたって続く場合、それが不安障害へと発展することがあります。

不安障害の発生に関連するとされる要因を「身体的要素」「精神的要素」の二つに分けて説明します。

身体的ストレスと不安障害

身体的な健康状態特定の薬物の使用が、不安障害の発生に影響を及ぼすことがあるとされています。

身体的な要因としては、心大血管系の疾患(例えば心不全や不整脈など)、ホルモンバランスの異常喘息やその他の呼吸器系の問題が挙げられます。また、特定の病気に対する薬物治療や、薬物の中断に伴う離脱症状も、不安感を引き起こす要因となり得ます。

病気や薬の使用によって多少の不安を感じることは普通のことですが、疾患が生命に影響を及ぼす可能性に対する不安が強い場合は、迅速に主治医と相談することが重要です。

精神的ストレスと不安障害

続いて、精神的な要因が不安障害にどう影響するかについて考えてみましょう。ストレスが原因で強い不安感を抱くことは、不安障害の重要な要因の一つです。

ストレスの原因は多岐にわたります。日常生活で経験をする、例えば公の場でのスピーチから、災害のような大きな出来事によるものまであります。ただし、同じ状況下でも人によって感じる不安の度合いは異なります。人前でのスピーチに恐怖を感じる人もいれば、逆に楽しむ人もいます。また、経験を積むことで慣れたり、対処方法を学ぶことにより感じ方が変わることもあります。

強い不安が原因で、日常生活に支障が出るような状態である場合には専門家に相談し、適切な診断を受けることが大切です。

不安障害はどのように診断される?

泣きそうな男性

ここでは、不安障害を診断する際の基準について詳しくご紹介します。この基準は、不安障害の種類ごとに異なり、それぞれの特徴を把握するのに役立ちます。

パニック障害のアセスメント

パニック障害を診断する際には、患者がパニック発作の再発を恐れ、それが原因で特定の状況を避ける行動を取ることが重要な指標となります。

パニック発作は、突然強い恐怖や不快感を伴い、数分で多様な症状が現れることが特徴です。

パニック発作の主な症状には、動悸や心拍数の増加、発汗、震え、息苦しさ、窒息感、胸の圧迫感、吐き気、めまいや寒気などの身体的な症状があります。また、制御不能に陥る恐怖や死の恐怖を感じることもあります。

全般不安障害のアセスメント

全般不安障害は、日常のさまざまな出来事や活動に対して、未然に起こる前から過度の不安や心配を抱えることが特徴です。この状態で、不安、集中力の低下、易怒性、睡眠障害などのさまざまな心理的および身体的症状が現れることがあり、これらが社会的、職業的な活動に影響を与える場合もあります。このような症状が6か月以上持続することが一般的です。

社交不安障害のアセスメント

社交不安障害を特定する際には、他人に注目されるような場面での強い恐怖や不安を経験することが一つの基準となります。

社交不安障害の状態では、特に他者から注目を集めるような社交的な状況で、他人から否定的な評価を受けるのではないかという過剰な心配によって、これらの場面を避ける行動を取り、社会生活に支障が出ることがあります。このような症状が6ヶ月以上持続する場合があります。

限局性恐怖症のアセスメント

限局性恐怖症を診断する際の基準では、特定の対象や状況に直面すると、直ちに強い恐怖感や不安を経験し、そのような状況を避ける行動を取ることが挙げられます。この状態が6ヶ月以上継続することも診断の一環です。

不安障害とはどう関わっていく?

不安障害に限らず、精神障害領域の治療方針は、病気を完全に解消することを目的とするわけではありません。むしろ、日常生活における症状の緩和が主な治療目標です。治療のアプローチは、主に薬物療法精神療法の二つに分けられます。

薬物治療のアプローチ

不安障害の治療において、セロトニンと呼ばれる神経伝達物質の役割が重要であると考えられています。これはうつ病における治療原理とも共通します。そのため、不安障害の治療には、抗うつ薬や抗不安薬がしばしば用いられることがあります。

精神療法の手法

精神療法の中で、不安との付き合い方を学ぶために認知行動療法を採用することがあります。この療法は、ある事象に対する認知や解釈に焦点を当て、よりバランスの取れた思考パターンを促進することを目指します。より柔軟な思考を育てることにより、ストレスや不安感を軽減する効果が期待されます。

不安障害への対応方法と予防策

病院の待合室

不安障害に対しては、日常生活で実践できる対処法や予防策がいくつか存在します。これらの方法は、不安障害の症状を和らげ、発症のリスクを減少させるのに役立ちます。

医師や専門職との相談を活用する

日常生活や症状に関してはもちろんのこと、職場の環境や現在の職業についてなど、医療・福祉分野の専門職に苦しさを正しく伝えることが重要です。実際に、「話を聞いてもらう」という行為自体が、不安感を軽減する効果を持つこともあります。不安や心配なことがあれば、むしろどんどん外部に相談することを推奨します!

健康的な生活習慣を心がけてみる

健全な食生活、十分な睡眠、そして適切な運動1は、身体だけでなく心の健康にも非常に重要です。特に、不規則な生活リズムは睡眠障害や身体的不調を引き起こすリスクがあります。日々の食事や睡眠スケジュールを一定に保つことが、健康維持には不可欠です。

通勤を楽にすることを考える

通勤中の電車やバスの混雑がストレス源となっている場合は、時差通勤在宅でのお仕事を検討することが有効です。もしそのような制度が職場にない場合は、混雑を避けるために利用者の少ない時間帯の電車を利用したり、グリーン車に乗るなどの方法も考えられます。

長期間にわたり通勤を避けてしまうと社会生活に支障を来す可能性もありますので、家族や友人に同伴してもらいながら徐々に慣れていくことも重要です。

不安を和らげるセルフケアを試してみる

不安を感じ始めた時には、不安に対して効果的なリラクセーションを試してみることが効果的です。たとえば、「深呼吸をする」「ストレッチを行う」などの方法があります。特に深い呼吸は、リラックスに役立つ副交感神経を活性化させる効果があるため、日常的に実践すると良いでしょう。

これらのリラクセーション方法を取り入れても、仕事に対して「辛い」と感じることがある場合は、やはり医療・福祉機関に相談することが大切です。状況に応じて、休職や退職の選択肢も検討してみてください。

今日のまとめ

パソコンを見て楽しむ男女

不安障害は、その特徴ゆえ誰にでも発症する可能性があるご病気です。

そのため、もし強い不安や恐怖が日常生活に影響を与えている場合は、無理をせずに医療機関で相談することが重要です。不安障害は薬物治療や精神療法を通じて症状を緩和できることもあるため、治療を受けながら仕事を続ける人も多くいます。

かかりつけの医師や身近な協力者と一緒に、心身の健康を維持しながら生活をすることがとっても大事なんですね!

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てがある。編集部

いぴちき
いぴちき作業療法士
作業療法士兼イベンター。大学では企画構想学科を修了後、イベント運営会社に就職し放送業界にて活躍。その後、作業療法士の資格を取得し、リワークにて施設長を経験。好きなものはコーラ。犬か猫かといわれれば、やはり猫!