100点満点を追求する心の病。それ、強迫性パーソナリティ障害!?特徴や治療的関わりについて解説します
「強迫性パーソナリティ障害」という障害をご存知でしょうか。
この病気は極端な秩序や方法に強いこだわりを持ち、完璧を追求するあまり日常生活に様々な困難をもたらす精神障害です。
原因はまだはっきりとしていないようですが…「完璧主義」がエスカレーションしてしまって疲弊してしまう、という方は、それが病的なものなのかどうかという視点を持つことで楽になることもあるのかもしれません!
今回は強迫性パーソナリティ障害について理解を深めるエクササイズ、始めていきましょう。
目次
強迫性パーソナリティ障害が及ぼす生活への影響とは
強迫性パーソナリティ障害を持つ方は、細部への異常なまでのこだわりから、日常の業務の遂行が難しくなることがあります。
社会生活では、しばしば膨大に感じられるタスクに追われがちかな、と思います。
根本的には、とっても真面目で一生懸命にお仕事をされる方、ということですね。
また、完璧主義ゆえか「自分がやった方が落ち着く」という思考にも陥りやすく、自分の業務を他人に委ねるのが苦手で、他者との協力や対人関係の構築にも困難を感じることがあります。
この症状は、不必要な節約や質素な生活を選ぶことにもつながり、極度の不安感を抱えることが多いです。
「そこまでして苦しくないの?」と言いたくなるような状況の方も中にはいらっしゃいます。
しかし、そこはやはり障害です。本人も気にされていることなので、あまり突っ込んだことは周囲から言い過ぎないことも大切です。
固定された価値観から、他人の意見を受け入れることが困難な場合があるからです。
強迫性パーソナリティ障害を生む要因は?
強迫性パーソナリティ障害の具体的な原因は、現在のところ完全には解明されていないのが実情です。
ただし、完璧を求める傾向が強い人々の間では、この障害が発症しやすいとの見方があります。
特に、幼少期の人格形成の段階が、症状の出現に影響を与えている可能性が指摘されています。
厳格な家庭環境で育ったり、親の価値観を強く受け継いだ方々の中には「もっと期待に応えるため、褒めてもらえるため」という思考に陥りやすく、得てして完璧主義となる傾向があると言われています。
それがエスカレーションすると、個人の行動や心理状態において、自己設定したルールや規範に対する執着を生むと考えられています。
強迫性パーソナリティ障害の診断基準は?
強迫性パーソナリティ障害の診断は、精神科専門医が患者自身やその家族からの詳細な情報を集め、症状や日常生活の様子に基づいて診断を下していきます。
この診断プロセスでは、主にアメリカ精神医学会が発行する精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-5)を基準に使用します。
また、患者が他の精神障害を発症していないかどうかの判断も、非常に大切な要素となります。
例えば、以下のような病気を罹患している場合にも、強迫観念めいた思考を呈しやすいかと思います。
- 気分障害
- 不安障害
- 摂食障害
- アルコール依存症
これらの疾患を併発していないかどうかの確認も重要な診断とされています。他の病気がマスクされている可能性も捨てきれないからです。
医療では、包括的な評価を通じて、根拠のある診断や適切な治療方針の組み立てを行っていきます。
強迫性パーソナリティ障害の向き合い方
強迫性パーソナリティ障害に対する治療の中心は、心療内科の専門医によるカウンセリングやその他の心理療法です。
これにより、日々のストレスや深く心に根差す強迫的な思考に対処し、患者さんが内面的な解放を見出す手助けをします。
自由連想法(無意識で自身から出てくる言葉を声に出してみるような心理療法)といった、患者主体の治療が特に有効とされています。
また、症状に応じて薬物療法も導入されることがあります。
特に、異常に高い完璧主義の傾向が見られる場合には、セロトニンのバランスを調整するSSRIの使用が検討されます。さらに、気分の大きな波がある際には、抗うつ剤の処方も行われることがあります。これらの治療法を通じて、患者さんがより良い生活を送れるようサポートします。
まとめ!
この病気の人は、細かいことにこだわり過ぎて日常の業務が難しくなったり、他人との関係構築に苦労したりします。
ですが、強迫性パーソナリティ障害をお持ちの方も、理解と適切な治療を受けることで、より良い生活を送ることが可能です。完璧主義に悩む方々に、心の健康と充実した日々を取り戻す手助けをするために、周囲の方や医療・福祉と協力して、この個性と向き合っていきましょう!
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てがある。編集部
- 作業療法士兼イベンター。大学では企画構想学科を修了後、イベント運営会社に就職し放送業界にて活躍。その後、作業療法士の資格を取得し、リワークにて施設長を経験。好きなものはコーラ。犬か猫かといわれれば、やはり猫!