【第三回】SEKILALABOでセキララに話した分かち合いのまとめ、振り返り。

みなさんこんにちは!てがある。と申します。

寒さもいよいよ落ち着いてきて、少しずつですが春の兆しを感じる季節となってきました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか??

さて、3月も無事にSEKILALABOを開催しまして…今回も話し合ったことについてのまとめをしていきたいと思います。

SEKILALABO第3回フライヤー

SEKILALABOは、ひきこもりに悩む全ての方が、垣根なく「分かち合い」を通じてお互いの思いを共有する、フルリモートのトークイベントとなっております。

当事者のための当事者会、家族のための家族会、はこれまで参加経験があったのですが、この度こういった会を、しかも主催させていただき、協力していただいている皆様にも大変ありがたい気持ちです。

さて、会の雰囲気などまるで検討がつかない状態で走り出した第一回目ですが、思った以上に穏やかな印象で、ご参加くださった方からも「わかる!」と共感する声が多く聞かれました。

本記事では、このふりかえりを通じて得た気づきや、当日の分かち合いの内容についてご紹介いたします。


分かち合いの進行方法

今回の分かち合いは、事前に回答いただいたアンケート内容をもとに進行されました。ファシリテーターであるマモノが回答を読み上げ、その内容について参加者同士で自由にトークを展開する形で進められました。テーマは次の2つでした!

  1. 「私生活でしている趣味。もしくは『これを通じてみんなと楽しく遊んでみたいこと』はありますか?」
  2. 「過去の自分に一つアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えたいですか?」

それぞれのテーマについて参加者の声を掘り下げていきます。


1. 私生活でしている趣味。もしくは『これを通じてみんなと楽しく遊んでみたいこと』はありますか?

多くのひきこもり当事者の方が、ゲームを中心とした趣味を通して日々の楽しみを見いだしています。ボイスチャットを使い、ゲーム以外の話題を交えて会話の基礎を身につける方もいれば、集団でのプレイに抵抗があるため、一人で遊べるゲームに没頭する方もいるようです。限られた経済状況の中で古いゲームをやり込みながら、空想や創作活動を楽しむ人も少なくありません。以下では、具体的な楽しみ方や取り組みの例を紹介します。


1. ゲームを通じたコミュニケーション

  • ボイスチャットの活用
    ゲームの中だけでなく、日常の雑談や自分の言いたいことを口にする練習としてボイスチャットを用いる方がいらっしゃいました。直接顔を合わせるわけではないため、比較的気軽にコミュニケーションを取れるようです。
  • 会話の基礎づくり
    ゲームに関連する話題をきっかけにしつつ、徐々に生活や趣味など、ほかの話題にも広げることで、言葉を交わすハードルを下げている当事者もいます。

2. 一人でも遊べるゲームへの没頭

  • 集団プレイへの抵抗感
    オンラインゲームであっても、他プレイヤーと直接関わることを避けながら楽しむ人がいます。チャット機能をオフにするなど、自分なりの距離感を保ちながらプレイするのが特徴です。
  • 古いゲームのやりこみ
    経済的な事情で新しいゲームが買えない場合、家にある古い作品を何度も遊び込み、やりこみ要素をすべて体験することで満足感を得ています。安価な中古ゲームをまとめ買いして、コストを抑えつつ長く遊ぶケースもあります。

3. 創造的な楽しみと空想の広がり

  • 二次創作や模写
    ロゴの模写をしたり、ゲームの設定をもとにキャラクターや物語を考えたりするなど、創作活動を通じて作品世界をさらに深く楽しむ姿が見られます。
  • 空想の世界に浸る
    「もし好きなゲームに架空のキャラクターが登場したら?」といった想像を膨らませたり、歴代の名馬を組み合わせてレースを作り上げたり、独自の鉄道路線を考えたりと、自由な発想で“自分だけの世界”を創り上げる方もいます。
  • 長期間の熱中と飽き
    ひとつの作品を永遠にやり込むほど深くハマる人がいる一方で、短期間で飽きてしまい、次々と別のゲームを試す人もいるなど、熱中度や飽きのタイミングは人それぞれです。

このように、ゲームを中心とした多様な趣味は、ひきこもり当事者の方々にとって生活の楽しみやコミュニケーションのきっかけとなっています。ボイスチャットでの会話練習や一人でのプレイ、想像力を活かした二次創作に至るまで、その取り組み方はさまざまです。自分に合ったスタイルで趣味を楽しみつつ、同じ趣味を通じて「みんなと遊んでみたい」という願いを少しずつ形にしている姿がうかがえます。


2. 過去の自分に一つアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えたいですか?

かつての自分に伝えたい言葉は、人間関係に対する警戒の度合いや社会との向き合い方について、さまざまな体験から得た気づきに基づいています。以下では、その主なポイントを三つに分けて紹介します。


1. あまり警戒しすぎなくても大丈夫

  • 相手との距離感に影響する
    自分を出さないようにするあまり、結果として相手との距離が広がってしまったという声があります。自分が警戒しすぎると、相手も警戒してしまい、良い関係を築くチャンスを逃してしまうようです。
  • 少しずつ打ち解ける経験
    職場の人たちが優しい方々で、ひきこもり経験を経ての就職で周囲に馴染めない自分に対して定期的な面談や飲み会の誘いをしてくれたことで、人との関わりに対する恐怖心や声を出すことのハードルが少しずつ下がったそうです。

2. もっと警戒したほうがいい場合もある

  • 信頼しすぎて傷つくことも
    何でも「イエス」と受け入れてしまった結果、秘密を漏らされたり、いじめや誹謗中傷を受けたりする経験がある人もいます。人を疑うことを知らなかったことが裏目に出たというエピソードが目立ちます。
  • 周囲の対応に翻弄される苦しみ
    いじめについて自分が苦しくて周囲に相談をしたことがきっかけでいわゆる「チクリ」のように受け取られてしまい、いじめの加害者やその友人から報復のような仕打ちを受けた例もありました。自分の正直な行動が、周囲の反応によっては思いがけない苦しみに発展することもあるようです。

3. 中途半端に“狂う”とつらい

  • 社会との距離感を見失う苦しさ
    「自分がおかしいのか、周りがおかしいのか」と悩むうちに、何が正義か悪かもわからなくなり、世の中は“狂ったもの勝ち”だと思うようになった方もいます。
  • 責任やサイクルからは逃れられない
    親はいつか亡くなる、働かないと生活できなくなる、といった現実を考えると、社会の歯車から完全に降りることは難しいという意識が強まっていきました。
  • 理想を追い求めすぎず“今”に目を向ける
    理想や正義を突き詰めるほど苦しくなってしまうので、ほどほどに社会に合わせながら、自分のできる範囲で行動するほうが心の負担が軽くなるという意見もあります。

このように、過去の自分へ向けたアドバイスには「警戒しすぎずにもう少し心を開いてもいい」「信頼しすぎるときは痛手を負うことがある」「中途半端に思い悩むより、身の丈に合わせて社会と関わる」という両面からの視点が混在しています。それぞれの体験が示すように、適度な距離感と柔軟な考え方を持ちながら、社会や他者と向き合っていくことが大切だと感じられます。


まとめ

ひきこもり経験を持つ当事者の方が「過去の自分に伝えたい」と語るアドバイスは、警戒心の取り方や社会との距離感について、相反するようでいて実はバランスを取ることが大切だと示唆しています。警戒しすぎて自分を出せないと、人とのつながりを失いがちになりますが、かといって無防備なままだと、他人に利用されたり傷つけられたりするリスクも生じます。また、悩み込んでしまうよりも、ご自分にできるペースで生きることが、結果的に心を軽くしてくれるという見方もあります。

過剰な警戒も無警戒も避けつつ、適度に周囲と関わり、自分の考えや立場をしっかり持ちながらも相手や社会に合わせる柔軟さが必要だということです。こうした心がけを持つことで、自分自身の生きづらさを和らげ、長い目で見たときにより充実した生活を送れるきっかけになるのかもしれませんね。


最後に

SEKILALABOは、さまざまな立場の方が集まり、それぞれの思いを共有することで共感や理解を深めることを目指しています。この記事を読んで興味を持たれた方は、ぜひ次回の会にご参加ください。あなたの声が誰かの心に届き、新たな気づきをもたらすかもしれません。

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てがある。編集部

いぴちき
いぴちき作業療法士
作業療法士兼イベンター。大学では企画構想学科を修了後、イベント運営会社に就職し放送業界にて活躍。その後、作業療法士の資格を取得し、リワークにて施設長を経験。好きなものはコーラ。犬か猫かといわれれば、やはり猫!